11位に潜むSEOの注目現象、カツオアルゴリズムとは?!
こんにちわ、ひにしです。
本記事のテーマはSEOエキスパートの皆様も完全に耳慣れないワード「カツオアルゴリズム」です。
これは、2014年8月16日のCSS Nite LP37「選ばれるECサイト」において、私の働いているso.laの辻がお話しした件となります。本記事ではこのアルゴリズムについて詳細解説を行います。
また、このセミナーの内容は以下のページにてフォローアップ参加絶賛受付中とのことです。
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カツオアルゴリズムとは?
一定の条件下において、順位が11位に固定される現象のことを指します。「11位に固定される現象」ではあまりに長く分かりづらいので以下の流れで命名されました。
11位に固定→ずっと11位→永遠の11→永遠の11歳?→カツオ!ということで、「カツオアルゴリズム」と名付けられました。
どういった現象なのか解説
では、具体的にどういう状態について該当するのか。いくつか例と共に解説していきます。
まず、上述のCSS Nite LP37で辻が話したように、以下2014/8/14時点での「クリスマス」の検索結果を例に見てみます。
上記の状態で、「クリスマス -site:wikipedia.org -site:netkeiba.com -site:yahoo.co.jp」と検索すると、1位、2位、3位を除外することになるため、11位の楽天市場のページは10位以内に通常であれば表示されると思います。実際に検索してみましょう。
楽天市場は11位のままです。
更にドメインを除外してみましょう。
「クリスマス -site:wikipedia.org -site:netkeiba.com -site:yahoo.co.jp -site:netkeiba.com -site:nicovideo.jp -site:naver.jp -site:origami-club.com」
やはり、楽天市場のクリスマス特集が11位のままです。
これは、楽天のサイトが悪いというわけではなく、条件によっては殆どのサイトで発生しうる現象です。キーワードによってはwikipediaが固定になることもあり、多くのサイトでも条件さえ合致すればこの現象が発生しています。
もちろん、-site:でドメインを1つ、2つ消して順位が消した以外のものが変わったり、-siteが検索オペレーターとしてうまく機能せずに順位に影響されることはあります。しかしながら、7個消しても11位から動かないこの現象は何らかのアルゴリズムが働いているとしか考えられません。
(頻繁に状況が変わるため、日を追うごとにご説明の状況を再現できなくなることご容赦ください。)
同じような現象は他のキーワードでも確認することができます。
ではもう1つ別の事例を見てみましょう。ニュース検索の事例です。以下は2014/8/14時点での「イチロー」と検索した結果です。
ニュース検索の1つ目と11位に、同じrocketnewsの記事があることが分かります。
「イチロー -site:wikipedia.org -site:www.sanspo.com -site:yahoo.co.jp -site:naver.jp」の構文で、10位以内のドメインを4つ除外します。
rocketnewsの11位が固定されたままです。
ニュースのユニバーサル枠に表示されると同じドメインが10位以内には重複して表示されないことは、なんとなく気付いている方も多いとは思います。ただ、併せて11位に同じ記事が出ることが多いことは気付かれていない方も多くいらっしゃるのではないのでしょうか。
これも、11位固定=カツオアルゴリズムの1つと考えています。
このような1ページ目にニュース検索と通常検索で同じページURLを出さないような処理をかけている理由として考えられることは、ユーザーにとって同じページが2回同一の検索結果で表示される状況は望ましくはないためです。より多くの選択肢を与えることがより良い検索結果と考えると2つ目の結果は不要です。そのため重複して同じコンテンツがニュースと通常枠で同じ1ページ内に表示されないようなアルゴリズムが組まれたのではないかと思います。
このニュース枠における処理は数年前からあったことです。弊社ではかなり前からこのような動きは確認していました。
その後、上記のニュース系クエリにおける特徴と同じような動きで2012年の夏からごく一部のサイト限定で妙に11位に固定されるケースが増え、全体的に11位になりやすい状況が観測できました。それらのサイトでは大量のキーワードが特定のタイミングで一気に11位になっています。
このニュースサイト以外で11位に固定される状況は最初に確認できてから2年経過しています。それからこれまでの間にもどんどん変化をしていますが、この2014年春ごろからさらに拡大をしています。
たとえば、以前はサイトを限定しての発動だったにも関わらず最近はサイトを限定して発動することがほとんどなくなりました。また今年の5月くらいからはサイト限定では無く、非常に多くの検索ワード及び多くのサイトでこの状況が確認できるようになりました。
発動したサイトの順位を追ったところ、11位状態になると11位から下がることはあっても、11位以上に上がることが少なくなっていました。しかし、注目すべきポイントとしては11位よりも上位に上がる時は、突然一気に6位以上に上がる特徴が見られたことです。
これは、本来6~10位くらいの価値があるものを、特定の条件下において2ページ目の1番目に飛ばすことを目的としたアルゴリズムなのではと考えました。
この状態が発動する条件はつかみきれていないのが現状ではあります。
但し、よくあるケースとしては1ページ目に同じ性質のサイトが複数ある時に発動することが多いと感じています。
つまり状況としては、ニュース検索のときと考え方は似通っており、1ページ目に異なる分野のサイトを置くことで検索結果に多様性を持たせることが目的なのではないでしょうか。
実際にこのアルゴリズムによるものであろうという動きをいくつも確認できています。こちらに気付いたうえで、検索結果をみていると意外と多く発見することができます。
仕事で関わるサイトでも、「カツオアルゴリズム」が発動したと考えられるサイトに対して、2年間試行錯誤し様々な施策を行いました。解消できた事例、できなかった事例、両方あります。すべての検索結果が同様のアルゴリズムで動くのではなくクエリによってこのような特殊な動き方をすることが増えているため、より一層対策が難しくなってきているのはたしかです。
しかし、このアルゴリズムは条件によってはどのようなサイトでも発生し得るものの、ニュース関連以外ではめったに発生するものではありません。では、もしご自分のサイトで同様の現象が観測できた場合はどのような対応が必要となってくるのか、考えるべき方向性を以下にまとめています。
どういった対策が考えられるか
そもそも、なぜこの状態となるようなアルゴリズムが組まれたか?を考えると、Googleはこのように考えたのではないかと推測しています。
「そのキーワードに対してのニーズを1つだけでなく複数満たせるものとしたい」そのために、「1ページ内に同じようなページばかりでなく異なる性質のサイトを表示させ多様性を持たせた結果としたい」
ご自身の担当されているサイトのキーワードでこの動きが見られた場合、いったいどうすればよいのか?
まずいえることはこれを避けるのは現実的に不可能です。でも、なにもせずに手をこまねいているわけにはいきません。行えることは大きく3つあります。
1)枠から飛ばされないように圧倒的な1位を狙う
とにかく狙っているワードの状況を見極め、上位表示されるようにすることです。現状、今回のように11位に飛ばされるケースは少ないものですが、もし飛ばされるような状態になっても、1~3位などに表示されていれば飛ばされないはずです。
2)テールでしっかり取れるようにする
このアルゴリズムが発動するのは現在の所、単ワードで比較的ボリュームのあるミドル~ビッグキーワードになります。SEOの基本ではありますが、ビッグワード以外のテールに如何に対応していくかは、この観点でもとても重要です。自社サイトの状況を理解したうえで、圧倒的な1位を狙うために力を注ぐのか、テールにより寄せた施策を行うのか判断することをお勧めします。
3)異なる性質のコンテンツを用意する
3つ目はかなり多くのサイトにとって非現実的なことになります。この1ページ目においてキーワード毎にどのバランスでどういった性質のコンテンツが表示されるかは固まるものではなくかなり大きく変わります。大規模なサイト様で中長期的に圧倒的なビッグワードによる上位表示を狙いつつテールを増強していく観点においても同じ内容に対して異なる性質のコンテンツを持つことが対策になると考えられます。
まずはご自分のサイトとキーワードで是非この観点で状況の観測をされることをお勧めします。
まとめ
Googleが考えているであろう「検索結果に多様性をもたせる」という考え方は、ユーザー目線からすると納得できる部分が多いものです。今後も「カツオアルゴリズム」は進化を遂げていくでしょうし、新たな動きもどんどんと出てくるものと思います。この件だけには限りませんが、Googleの目覚ましい進化に対応していくためには、Googleはこの状態をどんな意図で作ろうとしているのかを考え、あらゆる対策を講じ続けていく必要があります。今後SEOの仕事はより一層複雑さを増していくのだなということを感じさせられます。